世界の金融市場の動向はいかに?
今回は久々のニュース要約記事となります。「世界的に利下げ観測後退している」ことをお題としています。中央銀行の金融政策は市場に大きな影響を与えますので、現状を見ていきたいと思います。
今回の要約記事
記事タイトル:世界で利下げ観測後退、追加緩和なし織り込む-日銀利上げほぼ確実視
※出典:https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-09/T708OHKJH6V500?srnd=jp-markets
① ニュースの要点
世界的に「利下げ観測」が後退し、各国中央銀行がさらなる金融緩和に動かない可能性が高まっています。特に、市場では日銀の利上げがほぼ確実視されている状況です。これは、インフレの根強さや経済の底堅さを反映しており、金利が長期間高止まりする、あるいはさらに上昇する「高金利の常態化」を投資家が織り込み始めたことを示しています。長期積立を続ける私たちにとって、金利環境の変化はポートフォリオへの影響を考える上で重要な視点となります。
② 市場の反応と背景
各国のインフレ率が中央銀行の目標を上回って推移していること、そして懸念されていた景気後退(リセッション)が起きず、経済が予想以上に底堅く推移していることが背景にあります。このため、中央銀行は「インフレ退治」を優先し、安易な利下げに踏み切れない状況が続いています。
③ 出来事の深掘りと過去の類似事例の考察
・今回何が起きたのか?
今回は、中央銀行がインフレ抑制のため金融を引き締める(金利を上げる、または高水準で維持する)姿勢を崩さず、その結果、市場が期待していた早期の利下げ(金融緩和)の可能性が薄れたことが核心です。
特に日本においては、長年のデフレから脱却しインフレが持続している中で、「日銀の利上げ(マイナス金利解除後の追加利上げ)」が確実視されています。これは、日本の金利環境が大きく変わるターニングポイントになる可能性があります。
・過去にも似たようなことはあったか?
過去の類似事例としては、米国の1970年代から80年代初頭の「大インフレーション(Great Inflation)」と、それに対するポール・ボルカーFRB議長による急激な利上げ局面が挙げられます。
当時のFRBは、インフレを抑え込むために政策金利を一時20%近くまで引き上げました。その結果、景気は一時的に大きく後退(リセッション)しましたが、インフレを抑え込むことに成功しました。金融市場では、金利の急上昇により、債券価格は暴落し、株式市場も低迷しました。しかし、インフレが落ち着いた後の長期で見れば、景気回復と共に株式は再び大きな成長を遂げています。
・今回の出来事から何を学べるか?
- インフレ対応の長期化を覚悟する:
インフレは一度火がつくと、簡単には鎮火しない粘着性を持っています。中央銀行がインフレを完全に抑え込むまでには時間がかかり、その間は高金利が続く可能性があります。 - 短期の金利変動に惑わされない:
金利の上昇は一時的に債券や株価に悪影響を与えますが、長期的なインデックス投資は世界経済の成長そのものに賭ける行為です。短期的な価格下落は、「将来のリターンを安く仕込むチャンス」と捉えるべきです。 - 分散投資の重要性の再認識:
金利が上がると債券価格は下がりますが、インフレが収まれば、債券の利回りは高水準で安定します。株式と債券など、異なる値動きをする資産に分散すること(アセットアロケーション)が、金利環境の変化という「不確実性」に対する最強の防御策となります。
④ 補足情報・次に備える視点
長期投資家として、この状況で備えるべき視点は、日々の価格変動に目を奪われるのではなく、「投資の継続性」に焦点を当てることです。
- 積立は淡々と続ける:
市場のセンチメント(雰囲気)が悪化しても、毎月の積立を止めないことが重要です。金利上昇で市場全体が下落基調になった場合、それは優良なインデックスファンドをより安い価格で買い集めることができる機会となります。 - ポートフォリオの見直し(リバランス):
金利上昇局面では、グロース株(成長株)よりもバリュー株(割安株)が相対的に強くなる傾向があります。しかし、私たちは「全世界株式」や「S&P500」といった指数全体に投資しているため、個別銘柄の動向を気にする必要はありません。もし、株式と債券の比率が目標からずれていたら、年に一度のリバランス(元の比率に戻す調整)を検討する程度で十分です。
⑤ 筆者のひと言感想
今回のニュースは、特に「日銀利上げ」というキーワードで日本の投資家を不安にさせるかもしれませんが、世界的に見れば、「インフレが収まらず、経済は底堅い」という、実は資本主義としては健全な状況がベースにあると言えます。むしろ、デフレを経験した私たちからすれば、インフレは「資産の価値が目減りするリスク」を意味しますが、同時に「企業収益の増加」と「経済成長」の裏返しでもあります。この環境下で、世界経済の成長の果実を丸ごと受け取るインデックス投資は、やはり理にかなった戦略だと再確認できます。私たちFIREを目指す者は、目の前の変動をノイズと捉え、時間の力を信じて淡々と積み立てを続けるのみだと思う今日この頃です。
⑥ 今日の投資の格言
「株式市場は、短期的には投票機、長期的には体重計である。」
―― ベンジャミン・グレアム
意味:
株式市場は、短期では人気や感情によって価格が乱高下する(投票機)が、長期的にはその企業の本質的な価値や実力(体重計)が反映される。短期のノイズに惑わされず、長期的な視点を持つことの重要性を説いています。
今回も読んでいただきありがとうございます。少しでも参考になれば嬉しいです。また、次の記事でお会いしましょう!

