衆院選圧勝の自民党、今後の展望は如何様に
衆院選後の日本の市場は近年稀に見るトリプル高、株式、債券、円の全てが買われました。自民党が圧勝したことで政権が安定すると見込まれ、市場に好感触を与えたことが要因かなぁと思っています。
今回の衆院選は自民党の戦略がうまく噛み合った感があり、高市首相の人気を全面に押し出し、高市政権を信任するかどうかを焦点として他政党を圧倒しました。一方で、今回の選挙では各党の公約があまり報道されていなかったように思いました。そこで今回の記事では衆院選で圧勝した自民党の公約をまとめて、これから日本がどのような方向に進むのかを見ていきたいと思います。
2026年自民党公約まとめ:長期インデックス投資への影響について
2026年2月の衆院選で圧勝を収めた自民党。その根拠となった政権公約(マニフェスト)には、単なる政治スローガンを超えた「日本経済の構造変化」を示唆する重要なキーワードが並んでいました。
「政治の安定は最大の経済対策」と言われますが、長期インデックス投資家に大きく関わりそうなものを、3つの柱で整理しました。
1. 「責任ある積極財政」と名目成長へのコミット
公約の目玉は、高市政権が掲げる「サナエノミクス(責任ある積極財政)」の本格始動です。
- 名目GDPの拡大:
公約では、戦略的な財政出動を通じて「強い経済」を構築することを明記しています。インデックス投資家にとって重要なのは、企業収益の源泉となる「名目GDP」の成長です。インフレを伴いながらも経済規模が拡大するフェーズは、株価指数(TOPIX等)の中長期的な押し上げ要因となりそうです。 - プライマリーバランス目標の柔軟化:
従来の財政再建至上主義から、成長投資を優先する姿勢へシフトしています。これにより、AI、半導体、量子技術といった次世代産業への「官民連携の巨額投資」が継続的に行われる見通しです。
2. インデックス投資に関連する「3つの重点投資分野」
公約では17の戦略分野が挙げられていますが、特に市場全体に影響を与える「国策テーマ」は以下の3点です。
① エネルギー安保と原発再稼働
「安全性確保を前提とした原発の再稼働」と「次世代革新炉の実用化」が明確に打ち出されました。エネルギーコストの安定は、製造業を中心とした日本企業の利益率を改善させます。これは指数構成銘柄の多くを占める伝統的企業のファンダメンタルズを支える材料です。
② 「資産所得倍増プラン」の継続と深化
NISA(少額投資非課税制度)の普及に続き、貯蓄から投資への流れをさらに加速させる施策が盛り込まれています。国内での投資呼び込みが強まることで、市場の流動性が高まり、日本株指数の「底堅さ」が増すことが期待されます。
③ 危機管理投資(防災・防衛・サプライチェーン)
「日本成長戦略」として、防衛力強化やサイバーセキュリティ、半導体供給網の国内回帰に巨額予算が投じられます。これは特定の個別銘柄だけでなく、インフラ全体やハイテク指数の成長を牽引する強力なエンジンとなります。
3. 外交・経済安保:地政学的リスクのコントロール
投資家が懸念する「地政学的リスク」についても、公約は明確な姿勢を示しています。
- 日米同盟を基軸としたサプライチェーン構築:
トランプ政権下での米国との連携を深めつつ、重要物資の国内確保を進める方針です。これにより、グローバルな供給網の断絶リスクに対する「耐性」が強化され、日本株が「相対的に安全な投資先」として再評価される可能性があります。
長期インデックス投資家が取るべき「3つの構え」
- 日本株指数の「再評価」を前提にする:
「日本は成長しない」という前提が崩れつつあります。ポートフォリオにおける日本株の比率が極端に低い場合は、TOPIXなどを通じた「日本市場全体への投資」を適正化する良いタイミングかもしれません。 - 為替変動に左右されない「時間分散」:
積極財政による成長と、日銀の緩やかな利上げがセットになれば、円安が是正される局面も予想されます。外貨建て資産(S&P500等)を保有する投資家は、円高による評価損を恐れず、淡々と「ドルコスト平均法」を継続することが肝となりそうです。 - 「国策」の方向性を信頼し、ホールドする:
政権公約に掲げられた投資は、5〜10年単位の長期プロジェクトです。短期的なニュースに一喜一憂せず、「日本経済が成長サイクルに回帰する」という長期シナリオを信じてホールドを続けることが、インデックス投資の正攻法となります。
自民党の2026年公約は、日本が「失われた30年」から脱却し、攻めの経済へ転換することを公式に宣言したものとなっています。
政治の安定という強力なバックボーンを得た今、長期投資家にとって最も避けるべきは「市場からの退場」です。この安定を追い風に、未来の資産形成を力強く進めていきましょう。
自民党公約、その他気になったものまとめ
今回の公約には「地政学的リスクの管理」と「社会基盤の安定」を強化する内容が盛り込まれていました。これらは、日本市場の長期的な「プレミアム(上乗せ価値)」を左右する重要な要素となります。その中でも私が気になった4項目(外交・インテリジェンス・給付付き税額控除・外国人政策)についてまとめてみました。
1. 外交:日中関係の「毅然とした安定」
投資家にとって最大の懸念材料である地政学的リスクに対し、公約では以下の方針が示されています。
- 対中関係の構築と抑制:
中国とは「開かれた対話」を通じた建設的・安定的な関係を目指すとしつつ、力による現状変更や「経済的威圧」には毅然と対応することを明記しています 。また、台湾海峡の平和と安定の重要性も強調されています 。 - 同志国との多角的な連携:
日米同盟を基軸に、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)を推進し、グローバルサウス諸国や基本的価値を共有する地域との連携を深める方針です 。 - 投資家目線:
日本株が「アジアにおける安全な投資先」として再評価されるためには、この「毅然とした安定」が不可欠です。地政学的リスクが適切にコントロールされることで、日本市場への長期資金の流入が期待しやすくなります。
2. インテリジェンス:情報の国家管理体制の構築
「テクノロジー大国」への回帰を支える裏付けとして、情報機能の抜本的強化が打ち出されています。
- 司令塔の創設:
「国家情報局」を官邸直属で設置し、対外情報機関(日本版CIAに近いもの)の設置も検討されています 。 - 経済安保の保護:
外国人による不当な介入を阻止するための「外国代理人登録法」の整備や、外交・技術の専門知識を集結させた「総合的な経済安全保障シンクタンク」の創設が掲げられています 。 - 投資家目線:
日本が持つ先端技術(半導体や量子等)の流出を防ぐことは、日本企業の「独占的優位性」を守ることと同義です。インテリジェンス機能の強化は、中長期的な企業の競争力を下支えするインフラと言えます。
3. 給付付き税額控除:現役世代の「可処分所得」へのアプローチ
「資産所得倍増」と並び、家計の購買力を支える仕組みとして注目すべき点です。
- 手取りを増やす仕組み:
中・低所得者(若者・現役世代含む)を対象に、所得に応じて手取りが増える「給付付き税額控除」の制度設計を進めることが明記されました 。 - プッシュ型の給付:
マイナンバーによる情報連携を前提に、国が直接迅速に給付を行うインフラを構築するとしています 。 - 投資家目線:
消費の主役である現役世代の負担を軽減し、手取りを増やす施策は、国内消費関連企業の利益に寄与します。また、これが貯蓄から投資へ回る「入金力」の向上に繋がれば、証券市場全体の活性化という好循環が期待できます。
4. 外国人政策:安全保障と社会統合の両立
人口減少社会において、外国人労働力の活用と安全保障のバランスをどう取るかが明確化されています。
- 土地・住宅取得の制限:
安全保障面での懸念を払拭するため、外国人の住宅・土地取得や所有者の把握について、ルールを見直す方針です 。 - 文化・ルールの遵守:
外国人が日本の一員として日本の文化やルールを理解し、活動できる環境を整備することが強調されています 。 - 投資家目線:
秩序なき移民受け入れではなく、ルールに基づいた社会統合と安全保障(不動産等の防衛)を両立させる姿勢は、社会の安定性を高めます。長期投資にとって「社会の分断リスク」が低いことは、持続的な経済成長の必須条件です。
高市政権は「稼ぐ力(経済投資)」だけでなく、「守る力(外交・情報)」と「支える力(給付付き税額控除)」を一体として進めようとしています。
長期インデックス投資家にとって、これは「日本というプラットフォームの堅牢性が高まる」兆しと捉えることができます。単なる株価の浮き沈みではなく、国家としての構造改革が順調に進むか、今後の法整備のスピードに注目していく必要があります。
おわりに
今回は自民党の公約について、本編では経済関連に重きを置きましたが、それ以外で今後の動向で一番気になっていることは対中関係になります。高市政権が発足してからの日中関係はだいぶ冷え込んでいますが、無理におべっかを使う必要はないと思います。前々から何かにつけて日本が悪いと言い続けている中国に媚びる必要はないし、それならば日本に友好を示してくれている国をより一層大事にした方がより良い関係を築いていけるのではないのでしょうか。真に大事にすべきものを見定めて政権運営をしてもらいたいなぁと思う今日この頃です。

